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天井カセット型エアコン(4方向吹き出し)のシミュレーション
1.はじめに
天井カセット型エアコンとは、主に天井に設置される空調機器の一種で、4方向吹き出しと呼ばれる吹き出し口を有しており、これにより、室内の空気を均一に循環させやすいという特徴を有しています。オフィスや商業施設に設置されることが多く、以下の図のような見た目をしています。

この様な空調機器の場合、四方に設けられたスリットが吹き出し口であり、中央の四角い部分から空気を吸い込むという構造になっている事が多いです。
本チュートリアルでは、この様な比較的複雑な吹き出し口を境界条件で定義する方法を紹介します。紹介するシミュレーション実行に必要な全ての入力ファイルは、以下からダウンロードできます。
入力ファイル
本シミュレーションは、Intel COREi7搭載のノートパソコン上で、並列レベルparallel = 3(パラメータ設定参照)を用いて、1000ステップ1分程度の計算コストです。
2.3次元モデル作成
3次元モデル作成における基本的な構築ルールは、こちらのページをご覧ください。構築の手順として、まず要素ごとにビットマップ画像作成し3次元モデルを作ります。
本シミュレーションにおいては、以下のような境界条件色を使用して境界条件ビットマップ画像を作成し、4方向吹き出し口を表現します。また、吸い込み口は、自然に流出するとします(もちろん強制排出の指定も可能です)。
プリセット色- ■ x方向正の向きの吹き出し口
- ■ x方向負の向きの吹き出し口
- ■ z方向正の向きの吹き出し口
- ■ z方向負の向きの吹き出し口
- ■ 天井
- ■ 床
- ■ 壁
これら境界条件色の選択は、要素部品ごとの作成と確認の過程で徐々に決定する事をおススメします。
また、下図は境界条件用ビットマップ画像のシミュレーション領域内での向きを示します。
これらの境界条件用ビットマップ画像から、以下のような天井カセット型エアコンが4つ設置されたオフィス空間が構築されます。青、赤、黄、緑のスリットから、四方への吹き出しがあるような境界条件になります。また、これらの吹き出し口の中央部に位置する四角い領域は、吸い込み口(今回は自然流出)となります。

3.入力パラメータ
以下は、本シミュレーションにおいて特に重要なパラメータについての説明です。一般的な計算パラメータの説明は、こちらをご覧ください。
- cmode
0の流体解析モード(密度変動、温度変動なし)を選択。冷房・暖房の機能のシミュレーションを行うには、cmode=1の熱流体モードを選択し、別途温度条件を追加します。 - lx, ly, lz
シミュレーション領域のx, y, z方向サイズはそれぞれ5.0m, 2.5m, 5.0m。 - nx, ny, nz
x, y, z方向の格子点数は、必要な空間解像度や計算資源を考慮して決定します。本チュートリアルでは、(nx, ny, nz) = (100, 50, 100)とする。 - uinB, vinB, winB
青色境界からは、x方向正・下向きの流入。(uinB, vinB, winB) = (2.0, -1.0, 0.0) m/s - uinY, vinY, winY
黄色境界からは、x方向負・下向きの流入。(uinY, vinY, winY) = (-2.0, -1.0, 0.0) m/s - uinG, vinG, winG
緑色境界からは、z方向正・下向きの流入。(uinG, vinG, winG) = (0.0, -1.0, 2.0) m/s - uinB, vinB, winB
赤色境界からは、z方向負・下向きの流入。(uinR, vinR, winR) = (0.0, -1.0, -2.0) m/s - mu
空気の粘性係数として、2.0E-5 (kg/m/s)を指定。
4.シミュレーション結果
本シミュレーション入力ファイルでFlowsquare+を実行した場合の結果は以下の通りです。

